日本の商社に勤めるある男性社員が出張でニューヨークへ行くことになった。彼は外国への出張が初めてだったので、海外経験の豊富な友人に現地で注意することなどを酒を交えつつ教えてもらっていた。友人の話によると向こうはゲイが多く、中には襲われるケースもあるという。不安になった男性はそれから逃れるための方法を友人に聞いた。
「方法は簡単だよ。面と向かって『I am AIDS.』(私はエイズです。)と言えば一発で逃げていくさ。」
友人はそう言ってぐいっと酒をあおった。
その後、男性社員はニューヨークへと出張に旅立ち、何事もなく数日を過ごした。しかし、ある日の深夜に突如として事件は起こったのだ。
彼は誰もいない地下鉄のホームで電車を待っていた。すると、後ろから屈強そうな黒人の男にいきなり抱きつかれ、君は魅力的だと求愛するような言葉を言われた。ゲイだ!そう思った男性は友人から教えられたことを思い出し、とっさに「I am AIDS!」と叫んだ。
しかし、黒人の男はさらに男性を強く抱きしめて耳元でこう囁いたのだ。
「Me too.」(僕もだよ。)
この都市伝説には、下記のように様々な差別や偏見などのいわゆる「タブー」な領域が含まれています。
・黒人への差別
・エイズ感染者への差別
・同性愛者への差別
・黒人にはエイズ感染者が多いという偏見
・同性愛者にはエイズ感染者が多いという偏見
このような都市伝説を生みだした人間の差別心は恐ろしく、同時に悲しいものであるともいえるでしょう。
▼同様に差別や偏見を含んだ都市伝説
「エイズ・メアリー」