夕方、ある会社員の女性が仕事からマンションに帰ってエレベーターを待っていた時、怪しい男が顔を隠すようにしてエレベーターから降りてくるのを目撃した。
そして次の日の朝、彼女はテレビのニュースで、自分の住んでいるマンションで殺人事件が起きたことを知る。
昼過ぎになり、一人の警察官が事情聴取のために彼女の部屋を訪ねてきた。どうやら、昨日の殺人事件について調査をしているらしい。警察官は部屋にあがり込み、彼女に「昨日の夕方、犯人らしい怪しい人物を目撃しませんでしたか?」と尋ねた。彼女はエレベーターで目撃した男のことを思い出したが、面倒なことになるのは嫌だと思い、「特に何も見ていない」と答えた。すると警察官は、「そうですか、何事もなくてよかったです」とだけ言って帰って行った。
それからまたしばらくして、彼女はテレビのニュースで、殺人事件の犯人が逮捕されことを知る。しかしその時、テレビに映し出された犯人の顔を見て彼女の背筋は凍りついた。
それはまぎれもなく、聞き込みに訪れたあの警察官の男だったからだ。
そうです、犯人の男はエレベーターで女性とすれ違った際に、女性に顔を見られていないのかを確かめようとして、警察官を装って女性の部屋を訪れたのです。
もしも女性が、この「偽の警察官」をエレベーターで見た怪しい男だと気がついてしまっていたら…考えるだけで恐ろしいですね。