東北地方太平洋沖地震がもたらした混乱
3月11日に発生しました「東北地方太平洋沖地震」により、東日本地区にとても甚大な被害が生じました。未だに行方不明者数が死者の数を上回り、被害の全容は明らかになっておりません。また、「福島第一原子力発電所」での原発事故も併発し、東京電力の電源不足による「計画停電」が関東地方で実施されるなど、その被害は被災地だけに留まらず多方に渡って生じています。首都圏では多くの鉄道が運休となり、各地のスーパーマーケットでトイレットペーパーなどの物資が不足、ガソリンスタンドには長蛇の列ができるなど、多くの混乱が発生しました。
チェーンメールなどで誤った情報が流出
地震発生直後、千葉県の「コスモ石油精油所」で大規模な火災が発生し、それに伴った「チェーンメール」が広範囲で流れました。その内容は、「精油所の爆発で有害物質が大気中に放出され、雨などで降り注ぐ」といったものです。その他にも、「福島第一原子力発電所」の事故の影響を受け、「うがい薬を飲むことで、人体への放射線被害を軽減できる」との噂も流れました。このような流言は、いずれも事実とは異なった虚偽のものであると発表されましたが、携帯電話などのインターネット媒体を通じ、「チェーンメール」という形で一瞬にして広く出回りました。
流布量の公式
以前、当サイトで紹介した「教授のメモ」という都市伝説は、まさに地震に関連した内容であり、その中で「流言の流布量を表すための公式」を取り上げました。この公式はアメリカの社会心理学者であるゴードン・オールポートらの研究によって作られたもので、
「流布量」=「重要性」×「曖昧さ」
という式で表されます。ある話の内容が話者にとって重大であり、なおかつ話自体の根拠が曖昧であればあるほど、それが噂話として広まりやすくなることを示しています。
私たちにできること
戦後最悪の非常事態と言われる今回の大震災は、「福島第一原子力発電所」の予断を許さない状況、日本では前例のない「計画停電」など、我々の日常生活に多くの不安や心配をもたらしています。それらは重要な情報でありながら、地震によって一度に起こりすぎてしまったために、今までのように正しくは報じられず、とても曖昧な部分を含みます。上記の公式の通り、「重要性」と「曖昧さ」を併せ持ち、噂話などの流言が流布しやすい状況であることは事実です。そんな中、これ以上の混乱を起こさないためにも、一人ひとりが情報を落ち着いて判断し、対処することが求められます。地震発生直後で携帯電話が通じづらい中、「チェーンメール」という手段は正しい情報を含んでいたとしても、迷惑行為に他なりませんし、流言の多くは落ち着いて考えてみれば信憑性の低いものばかりです。惑わされることなく、逆に「都市伝説」として楽しむくらいの余裕が必要なのです。