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2011.05.06 Fri
中国の達磨男
中国の達磨男

ある大学生が夏休みに二人で中国を旅行していた時のこと。二人とも中国の旅行には慣れており、ありきたりの観光地では物足りなくなっていた。

そんなある日のこと、二人は興味本位で繁華街の路地裏へと足を踏み込んでしまう。そこは地元の人間でも滅多に立ち入らない場所で、なにやら怪しげな屋台や露店が建ち並び、不気味な雰囲気が漂っていた。二人はビクビクしながらも、怪しい露店の前を突き進んだ。しばらく歩いていると、古ぼけた見世物小屋のような建物が見えてきた。

「これはいい記念になるぞ」

二人はその小屋の中へと入って行った。小屋の中は薄暗く、異様な熱気に満ちており、数人の中国人達が舞台の上に視線を注いでいた。二人も同じように舞台の上を見上げた。
そこには、ビール樽が置かれていて、近くには見世物小屋の関係者らしき人が立っている。そして、ビール樽の上からは男性の頭がニョッキっと突き出していた。男性は憔悴しきっており、ぐったりしていて動く気配がない。しかも樽の大きさを見る限り、そこには男性の身体が入るスペースなど存在しないのだ。そう、手足を切断でもしない限りは・・・

「あれって手足を切断されて樽に押し込められてるのか」
「そんな馬鹿な・・・」

二人は驚きながら顔を見合わせた。
すると、その声を聞いた樽の中の男性が目を見開いて叫び出した。

「おい、日本人がいるのか!頼むから助けてくれ!頼む!!」

その瞬間、周囲の中国人や見世物小屋の関係者達が騒ぎ始め、二人に怪訝な視線が集まった。

二人はすぐに見世物小屋を飛び出し、無我夢中のまま走って逃げた。幸いにも、追いかけてくる者はいなかったが、小屋を出るとき、舞台の端に「日本達磨」と書かれた垂れ幕がチラリと見えた。

やはり、あの男性は「だるま」のように手足を切断され、見世物にされていたのだ!




中国ではその昔、両手両足を切断して頭と胴体だけの姿にする刑罰が実際に行われており、前漢の時代に「呂雉」という皇后がこの刑を執行した記録が残されています。そのため、今回の都市伝説の舞台は「中国」であることが多いのですが、中には「インド」が登場するものあります。いずれにしても、現地のことを「未開で野蛮」だと考える日本人の差別的なイメージ心が生み出した都市伝説であり、被害者が旅行中の日本人であるという共通した点が物語っています。
ちなみに、日本でも祈願に使用される「だるま」の置物はお馴染みですが、都市伝説の前半部分において、その語源は中国の刑罰に由来していると語られることがあります。しかし、「だるま」の語源は「達磨大師」であり、日本独自の伝統文化なので誤りです。都市伝説の信憑性を高めるために用いられるのだと思います。




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